僕の中の十字架

北村さんと富士原さんは、今まで見てきた人の誰にも似てない(ちなみに、サエも)。



「思い出して欲しいの。どんな死様だった？ 不自然なとこ、なかった？」



今時、此処までストレートなのも珍しいな。



「……不自然な、こと………」



思い出すだけで狂いたくなる。


狂った方がマシだ。



「………母さんの……」


「ん？」


「母さんの頭部の外傷。あれ、外力が保護組織の限度を越えて強かった。頭蓋骨が破壊されて脳まで挫滅してる」


「うん」


「あれは、何度も殴るか、男性の最大限の力で殴られたんだと思うんです」



父さんの医学書を読んだ記憶が蘇ると同時に、まるで探偵の様な気持ちが産まれた。



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