僕の中の十字架
ヤバイ殺される。このままじゃ死ぬ。
サエのほっぺを引っ張ったが、
「いた―――い!〈ばしっ!〉」
「………っ!」
ビンタされた………。
サエは気道を押さえた事に気付いた。が、
「ぎゅーっ」
殺す気か。
更に絞めてきた。
「さ、サエちゃん、そのままだと現行犯だから!」
「んー、こんな所で警察の御用にゃなりたくねー」
やっと手の力が緩み、ぼくは昇りかけた命の重みを確かめる様に、バクバク脈打つ心の臓を押さえた。
生きててよかった、生きててよかった。
「ゴホっ! …さ………サエ、お前、覚えとけ………!」
「忘れた」
「このやろう………」
「まぁまぁ、で、何を話そうとしたわけ?」
ちくしょう、コレで上手い具合に話そらせるかと思ったのに。
サエの表情はそう云っていた。
そらすなら他のやり方があるだろうが………。
このまま、「何でもないです、ぼくらの勘違いです」と言っても信じちゃくれないな。