僕の中の十字架






「ふむ。担任の先生が野田さんを………」


「う、噂ですから……」



ゲロッてしまった。


正直、何故言いたくなかったかというと、本当とは限らないから、あと――――



「そりゃあ、事実無根の子供の戯れ言だね」



―――こう一蹴されるから。



「―――全くもって同感です…………」



何故、ぼくはこの噂を信じてるわけじゃないのに、この話を大人して恥ずかしくなるのかな。



「んー、でも、その先生は長い間無断欠勤してますよね」


「よし行こうか」


「はい!」


「うん!」



うん?

何故サエまで立ち上がる?



「クロ、面白そうだから行くよ!」


「いや、北村さんも迷惑でしょ」


「いいよ別に」


「いいの!?」


「君ら、コレ(富士原)より役立つわ。クロエ君のほうが頭良いし」


「コレって…………!」



富士原さん、ここにきて初めての絶句。

その様があまりにも憐れで、ぼくは同情してしまった。

だって、段ボールに入れられて川に流された子犬みたいなんだもん……。



「先生の家の近くに、スタバあるんですよ」


「いいねー、富士原が奢ってくれるってよ」



まだ何も言ってねぇぇ……!

計画でもしてんのか? ってくらい上手く事が運んでいるのだが。




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