僕の中の十字架
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色々危ない点があったはずです。
とりあえず一番はじめに、本当に二人が警察なのかとかもっと疑ってよクロエ。
しかし、しかしです。
クロエには、そんな事を考えられる余裕が無かったとです。許してやりましょうかね。
昼下がりの少し強い日差しの中、渋滞とは無縁な二車線公道を走り抜けてく、真っ赤なポルシェなんかではありません。
銀のボディをキラッキラさせてるのはセリカですかね?
少し可愛らしいくらいに車体のパーツがノーマル仕様じゃない物になってます。
ブレーキもアクセルも反応が速く、車にしちゃあかなり俊敏です。
あまり車は詳しくありませんが、多分これはほとんどノーマル仕様じゃないです。
「運転、上手ですね……」
産まれて初めての三点式シートベルトを見下ろしながら、後部座席のクロエは呟く様に言いました。
タイヤは滑らかに地面の上を転がります。
「まー、大した事ないですがね」
「十分すごいです。――――うわぁ! 公道でドリフトしないで!?」
この人、警察よりレーサーになれば良かったですね。カーチェイス以外にいかすとこねぇもん。
「私が運転してると、コイツ横から邪魔するから、運転させてるけど………。まさかこんなに………。お前、一体何処でそんな技術を?」
「五歳の頃から―――」
「いっ!?」「うっ!?」「えっ!?」
「マ○オカートで学びましてね」
「…………」
「…………」
「すっげー富士原!」
「サエちゃんまでボクを呼び捨てですか」
くだらねぇな富士原!
そんなやり方で、よく今まで事故らずに免許(しかもゴールド)持てたなぁ!
クロエと北村さん、絶句です。
そりゃそうです。
サエは感激して、富士原さんを尊敬の眼差しで見ました。
「サエ、お前さ“戦○無○”やりすぎるなよ。“バイ○ハ○ード”も」
「何でー?」
「お前が何時か人殺しになりそうで怖い」
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