僕の中の十字架
やがて、セリカはとあるマンションの駐車場に停まり、四人は車から降りました。
「…………」
実は二回程リバースしかけたクロエですが、何とかこらえてました。
「なんですか?」
「別に」
ジットリと見てくるクロエの視線に気付いた富士原さんは訊きましたが、その答えはつれないものでした。
クロエ達の担任の先生は、この築五年七階建てマンションの302号室です。
エントランスに入ると、エレベーターが二つ並んであり、その横に部屋の数だけのダイヤルポストがずらりとありました。
“302”と書かれたポストからは、上の方から手紙やらダイレクトメールやらがはみだしてます。
かなり引き篭ってるみたいですね。