僕の中の十字架
空巣合法化
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もう何も言うまい。
北村さんはドアの間から中を覗き、
「すいませーん」
再度呼び掛けた北村さんの後ろから、富士原さんがさも当然そうにドアを掴んで更にあけた。
動作が自然過ぎ、というか、惚れ惚れする位に厚かましい、というか。
「入っちゃいますか」
富士原さんの言葉に、はっと振り返る北村さん。
複雑な表情をしている。
そりゃ怒るよね。
「いい考えね」
うおい!!
即答かよ!
少しは迷えよ!
「何かあったのかも知れないわよ」
「空き巣とかですか?」
「うん。だから正当な理由で入るわ」
正当?
正当なのか?
ぼくが何か言う前に
「君ら待ってなさい」
と言い残し、さっさと中に入って行った。