僕の中の十字架
傷
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「おっそいなー」
「うん」
ぼくは三階の廊下の手摺を掴み、景色を眺めていた。
サエはドアの右側の壁に寄りかかって座っている。
昼を少し過ぎた時間帯。マンションに面している道路は、そこそこ車が多かった。
デリカシー皆無な警官二人が中に(勝手に)入って行って十分は経つ。
一体何をしているんだ。
空き巣か?
そしてなにより、
「……………」
「……………」
なんすかこの沈黙は。
今日のサエの様子はおかしい。
「さびしくにゃーい」とか「一人にするなー」とかめちゃめちゃな事言ったりね。
そして今度はだんまりですか。
何時もは時々ウザッと思う位喋るのに。
さっきは元気だったのに。
もう解らない、何を考えているんだろう?
振り返って、ショックを受けた。