僕の中の十字架
トイレでの儀式を終え、ゲッソリとやつれた北村さんは、シャリシャリする口をすすぐために、うがいをしてました。
ゲロゲロ吐いて胃の中が空になった筈ですが、食欲はありません。あるわけねー。
クロエ達に、その場では何も教えずに富士原さんに送らせて家に帰しました。
きっと今頃、テレビで先生の死を知ったでしょう。
どうせバレるのに、何も教えてくれなかったと、二人は北村さんを恨むでしょうか?
きっと子供扱いが嫌いな筈です(特にクロエ)。
あのババア!
無駄な気を遣いやがって!
――と思われてたらどうしましょう。まだ26なのに。
北村さんだって、別にクロエ達を子供扱いする気はありません。
クロエは少なくとも富士原よりは頭いいし、サエもなんだか物分かりは良さそうだしな。
彼女の頭のピラミッドでは富士原さん以上で自分と対等である場所に、クロエとサエは居ます。
因みに、富士原さんの下はアメーバとかの原生生物で、富士原さんのひとつ上は動物です。
とことん彼を人間扱いしませんね。
「うん」
そうですか。
憐れではありますが、“嫌よ嫌よも好きのうち”と言いますし、個人的に富士原さんを応援しますかね。
というか、多分ツンデレだから、ガンバレ富士原。
話を戻しましょうか。
何故、彼女はクロエ達に先生の事を言わなかったのか。
答えは簡単、言えなかったのです。
実はああいう酷いものには苦手で、だから何時も現場ではなく捜査ばかりするのですよ。
向いてないんじゃない?
「いいの! 私は頭脳専門なの! 頭良いから!」
自分で言わないで下さい。
こっちが虚しくなる(ノ∀`;)
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