僕の中の十字架











「はっ!」



―――はい、眠りに落ちてました。


時計を見れば午前三時。
とても微妙な時間に目が醒めました。



「ムゥ………」



電気も点けっぱなし、
MOTTAINAI。


電気の無駄使いした自分を責めながら、北村さんは起きて梯近くの電気のスイッチを押して、明かりを切りました。


カーテン越しに外の街灯の光が入ってきて、部屋を薄く照らします。

しばらくの間、壁掛け時計の秒針の音や、外の道路をバイクが通る音がたまにするだけで、とても静かでした。


そのまま、また布団にくるまり、うとうとどんぶらこと船を漕ぎ始めた頃、



〈ヴーッ、ヴーッ〉



「うひゃあ!」



北村さんのお尻辺りで謎の震動!


思わず出た声が漫画みたいでなんか恥ずかしい。



布団を捲って見ると、別に大人の玩具とかではなく、コレは白い折り畳みボディの外側に九つのボタン。


正方形の小さな画面には“着信・富士原誠一”と表示されてます。――携帯でした。



にしても、コイツは何故こんな時間帯に電話してきやがるのでしょうか。


このまま留守電君に任せようかと思いましたが、こんな時に重大なニュースだったりするのですよ。


しかし、コイツはいけすかない、というか不純、というかあまり男性と親しくなった事のない北村さんからしたら、「不潔」な奴です。

理由は解りますよね。






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