僕の中の十字架
「………もしもし」
『うおー、起きてましたか順子さん』
「名前で呼ぶなキャバクラ男」
そういえば奴からキャバクラの特別会員カードをかっさらったままでした。
―――返せって言ったら殺そう。
北村さんの中で天使と悪魔が初めて意気投合した瞬間でした。殺して埋めたろうぜ。
『酷いですー、嬉しいクセに』
「しばくぞ」
『まあまあ。――――ところで、ちょいと用がありまして』
「なんだ」
特別会員カードかこのやろう。
『クロエ君達の担任の事件についてです』
「明日にしろ」
『いや、ちょっと――』
「明日にしろ」
『聞いて下さい』
「やだ」
『いーや、絶対聞いて下さい。――――っていうか、もうすぐ貴女の家に着くので。―――よっ』