ラブストーリーを一緒に
ギャイギャイと二人で言い争いをしている真っ最中に、毛布の下からうめき声がしてきた。


「…ったく…うっせぇなぁ…。もう何でもいいから、ここじゃないとこでやってくれ」


そう言ってもぞもぞと、サイドテーブルに置いてあるティッシュボックスに手を伸ばそうとしてる。


見かねてティッシュを二三枚差し出すと、意外に素直に受け取ってくれた。


…手が毛布から出てるだけだから、見えなかっただけかもしれないけど。


「ご、ごめんなさい…。わたしが変な誤解したから風邪が悪化してしまって…」


しょんぼりとする傍らで、母はにんまりと微笑んだ。


「なんだったら、ほんとにわたしの愛人にしたげてもいいけど?」


「…ホラーなこと言うんじゃねーよ…」


恨みがましい台詞も、鼻声ではかっこがつかない。
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