ラブストーリーを一緒に
やろうとして、再び手首をつかまれた。


「え―――」


先生は黙ってわたしからシートを取り上げて、洗いざらしの長い前髪をうざそうにかきあげる。


「……つめた」


本来あるべき箇所に貼られた時、先生は目を閉じてふーっと息をつく。


「サンキュ…これでちったぁマシに…」


「ダメですよ…」


再びゴロンと横になってパソコンに向かおうとしたので、わたしは慌ててパソコンの蓋を閉じた。


「あのな、お嬢ちゃん…」


先生が起き上がって眼鏡をはずす。


グレーのパジャマは上のボタンが三つもあいていて、直視できないわたしはじっと先生の顎辺りを見つめた。


…病人のくせに。


熱のせいで顔も赤いし、汗もすごいし、髪もボサボサだし、パジャマだって着崩してるくせに。


その姿は写真集の一枚みたいに絵になってる。
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