ラブストーリーを一緒に
ん…?


香月?


扉の前まで来てはた、と思い返してみる。


…そういえば、ここって、誰の家なんだろ?


表札をじっと見つめてみるものの、全く答えは出てこない。


「…ま、頼まれたって言えばいいよね…」


お母さんの友達の家かなんかだと思って、その時はあんまり深く考えずに呼び鈴を押していた。


…しばらく経っても何の音沙汰もない。


「留守なのかな…?」


どうしよう…


もう一度携帯に連絡してみようかと思い付いたとたん、インターフォンからザザッというノイズがして―――





「―――はい」





低い、男の声だ。





「ああああのっ、深見(フカミ)ですけどっ」





動揺して声が裏返りそうになる。





相手が男の人だなんて、聞いてない!!!





「……あんだよ、声が変だぜ?…そこまで急がなくってもいいだろうに」


そこで一方的にブツッと通話が途切れた。
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