ラブストーリーを一緒に
所在なげにポツンと突っ立ったまま、わたしは先生の『区切り』がつくまで待つことにした。


ビッシリと本に囲まれて、そこかしこに書類なのか原稿なのかわからない紙束が無造作に積んである。


BGMはパソコンのキーを叩く音だけ。


けど、この沈黙はちっとも苦ではなくて、むしろ心地いい。


相変わらず心臓はドキドキとうるさかったけど。




「…よし!終わった」


パタッと音がやんだかと思うと、先生の回転式の椅子がおもむろに振り向いた。


…あ…ちゃんと服着てる…


至って真面目な感想だっけど、よくよく考えると赤面ものだ。


髪はオールバックで、シンプルなグレーのカットソーに黒のスラックス。


ラフな格好といえど、部屋着というには高級な気がする。


…それとも、先生が着てるからそう見える…?
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