ラブストーリーを一緒に
そんなわたしを、先生は片手で頬杖をつきながら見つめた。


…というより、仏頂面で睨まれた、と言った方が適切かもしれない。


「…ありがとな」


「へっ!?」


ボソッとした低い言葉にビックリして顔を上げると、ますます先生の表情が険しくなってる。


「だぁら、ありがとうって。…お前のおかげで、すっかり良くなった」


「そんな…とんでもない…」


恐縮しまくって俯くと、長い手が伸びてきて、ぐしゃっと頭を乱暴に撫でられた。


「いいから、素直に聞いとけ。おまえが作った料理もほんとうまかった」


「先生…」


あ…手が離れちゃった。


髪を直すふりをして、まだ残る温もりに触れようとした。
< 60 / 138 >

この作品をシェア

pagetop