ラブストーリーを一緒に
モヤモヤした気分を吹き飛ばしたくて、ケーキの上にコロンと乗った苺をつまんで口の中に放り投げた。


「…甘くないや…」


クリームを先に食べちゃったからなのかな。


ちょっぴり苦さすら感じる。


苺は大好きなはずなのに。


それでも、一人で黙々とケーキの続きを口に運ぶ。


さっきまで美味しかったはずのケーキが、なんだか味気なかった。


「ごちそうさま」


誰もいないリビングで、いつもと同じように一人で食事を終えて、


これもまた習慣で、食べ終えた食器を洗って片付ける。




…先生、遅いな…




しばらく座って待ってみたけど、何の音沙汰もない。


人の家で落ち着かないのも手伝って、そっとリビングを抜け出した。
< 67 / 138 >

この作品をシェア

pagetop