ラブストーリーを一緒に
どこにいるんだろ…


さっきの書斎をのぞいてみたけど、先生の姿は見当たらない。


おそるおそるノックをしてから寝室の扉を開けてみると、ベランダに続く窓が少し開いていた。




「先生…?」




窓ごしには都心の高層ビル群が一望できるにも関わらず、


階が高いからか、下の道路を行き交う車の音が随分遠い。


先生は柵に手をかけてタバコをふかしながら、ぼんやりと景色を眺めていた。


その横顔には、多少疲れもみえる。


「あー…すまねぇ…」


先生はわたしの存在に気が付くと、当然のようにタバコを灰皿で揉み消した。


その気遣いがなんだか嬉しい。


「先生、謝ってばっかりですね?」


冗談めかして言うと、先生も少しだけ笑ってくれた。
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