ラブストーリーを一緒に
先生の隣に立ってみると、なんだか現実感がもてなくて、足元がフワフワした。


「ここ…夜景も素敵なんでしょうね…」


目の前に広がる景色に見とれて、ポツっと呟いた。


「…ただの電気だけどな」


「先生、その発言、身も蓋も無いんですけど」


じとっと軽く睨むと、先生は火をつけずにタバコを一本くわえる。


「ロマンチックじゃないですか。夜景」


「ふーん?」


先生が意地悪そうに口角を吊り上げた。


「おまえも、そーゆーの憧れるんだ?」


む。


明らかなガキ扱いに、ちょっと腹がたった。


「わたし、ハジメテの時は夜景の綺麗なホテルのスイートルームって決めてるんです」


そこで思いっきり先生が吹き出したので、ますます腹がたった。
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