ラブストーリーを一緒に
「腹減っただろ?なんか食わせてやるよ」


「え、えっ…!?」


先生がクルリと指先で回転させたのは、車のキー。


「で、でも…原稿…」


かろうじてそれだけ絞り出すと、先生はニヤリと笑った。


「本当の締め切りは明日の朝だから。心配すんな」


「ほ、本当の締め切り…?」


混乱した頭とは別に、心臓がドクドクと早鐘を打つ。


「行くぞ」


そう言って踵を返した先生は映画のワンシーンのようで、


わたしはまだまだ夢心地でぼんやりとしていた。
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