ラブストーリーを一緒に
当然だけど、ここは先生のテリトリーなわけで。


先生と密室で二人きりというのも、いつにも増してドキドキする。


「あ、あの…」


「あ?」


先生の大きな手が滑らかにシフトを入れて、車は音もなく動き出した。


この車、振動が全然ないんだ。


「わたし、その…図々しく助手席に乗ってしまって…すいません」


「なんだそりゃ?二人なのに助手席乗らない方がおかしいだろ?」


それはそうなんだけど…


チラリと先生の方を見て、慌てて目をそらす。


どうしよう…わたし今絶対顔真っ赤だ…


だって、運転する先生の横顔が…


「でででも、助手席って特別なヒトの専用席っていうか…っ」


大まじめに言ったわたしの言葉に返ってきたのは、先生の吹き出した声だった。


「…おまえってほんっと…」


言いながら、先生は信号待ちで爆笑してる。
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