ラブストーリーを一緒に
言いたくて言いたくてウズウズしてるのに、先生の方は少しバツの悪い顔を浮かべてる。


「あー…じゃあ、気に入ったとこあったか?」


なんか、ざっくばらんな聞き方だったけど、わたしは伝えたい想いでいっぱいで気にする余裕もなかった。


「はいっ!本当は全部すごくすごく大好きですけど、特にあの主人公とヒロインが星空の下で寄り添うとこが…っ」


そう、そのシーンは初めて二人が結ばれた所。


何もない森の中を進んで、一気に視界が開けた場所は一面の星空で。


言葉は何もいらない。


ただ情景描写が綺麗で、切なくて。


会話は何もないまま二人は―――




「―――…おい、こっちの世界に戻ってこい」


「す、すいません…っ」


先生の低い声と、ポンッと頭に置かれた手で我に返るわたし。
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