ラブストーリーを一緒に
「こんな…大人っぽいお店初めてで…緊張します…」


ジュースの入ったグラスをひたすら見つめて、正直に自分の気持ちの一部を伝えてみた。


顔は見えないけど、先生の視線からは親のような、保護者的な雰囲気を感じた。


「そりゃー会員制のバーがハジメテじゃない女子高生なんて、レアだろ」


カイインセイ?


そんなのは、ほんとに違う世界の話だ。


「…落ち着くし、飯もうまいからここに連れてきちまったが…そんなかしこまんなくていーぞ」


「で、でも…」


釣り合ってないです、わたし。


そう言おうとして、言えなくて。


先生が自分のグラスをスッと差し出した。


「これ、飲んでみ?」


「な…なんで…」


思わず顔を上げると、先生の意地悪そうな視線とぶつかる。
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