先生、教えて【短】
―このクラスで初めての授業。
いつも通りやって、いつも通り終えたつもり。
とっとと荷物をまとめて、次の授業を確認する。
「先生…」
気がつけば、目の前には困ったように眉を歪めた女の子。
『…どうした?』
「あ、あの…分かんない所があって」
『…どこ?』
「え、えーっと」
……なかなかの美少女。
さぞかしモテるだろうに。
その美少女は俺の説明を一生懸命聞いて、
ノートにメモしている。
…なんだか、その姿が見た目に合わない。
勉強なんかしてなさそうなのに。
つい興味を持った俺は――、
『お前って珍しいよな』
と、説明した後言ってしまった。
今考えれば、いらない発言だったと思う。
人は見た目で決めてはいけない。
ガキの時に習うこと。
でも、その美少女は目を見開きながら、
「あ、ありがとうございます……」
と、笑顔でお礼を言われてしまった。
―まぶしいまぶしい笑顔で。
―胸が異常に高鳴るのを感じた。
や、やばい。
なんだよ、俺。
『…わ、分かんない所あったら、聞きに来いよ!』
俺はそう言い残し、
慌てて教室を出た。