先生、教えて【短】
「…お前さー。ぼーっと立ってないで、隣座れよ」
先生は指で、先生の隣にあるイスを指した。
『え、でも…』
「いいから」
先生に促されて、渋々隣に座る。
「で、どこが分かんないの」
『え、えーっと』
少し慌てて、教科書をめくる。
『あ、ここです』
「あぁ、ここはな…」
先生はそう言うと、
あたしの中の疑問をあっという間に消していく。
先生は教え方が本当に上手だと思う。
ベテランの先生なんかより、ずっとずっと分かりやすくて…。
先生の授業だけ、ずっと受けていたくなるほどだ。
『…あ、こういうことですか?』
「うん、正解。
さすがだなー」
先生は笑いながら、あたしの頭をなでる。
頭をなでるのは、先生が褒める時にする癖。
…あたしは、この瞬間がたまらなく愛しい。
先生の指が、あたしの髪に触れて。
髪に神経でも通っているかのように、
なでられた所だけ、熱を帯びる。
……あたしは変態なのかもしれない。
だって今、こんなにも先生を激しく意識してる――。