先生、教えて【短】
「風花」
呼ばれた名前に、心臓が少し跳ねた。
『せ、せんせ…?』
「これから質問がある時は、ココ来い。
待っててやるから」
『……え…?』
驚いて、思わず聞き返す。
『で、でもっ』
「俺のことはいーの。
お前のことが第一だから」
ドキン、と胸が跳ねた。
"お前のことが第一だから"
それは、あたしの成績のことだって分かってる。でも……。
どうしてもあたしの頭は、
先生の言葉を都合よく解釈してしまうんだよ――。
「おっ、来た来た」
先生はあたしの姿を見て、笑顔になる。
そんな些細なことまでが嬉しいから、
あたしは重傷だ。
―あれから、あたしは毎日のように、
放課後、資料室に行って、先生に分からない所を教えてもらっている。
…おかげで、質問する量が極端に減って、
逆に困ってる状況だ。
『…分かんないとこ、あるから来るんじゃん』
「そうか?お前頭良い方だよ。
飲み込み早いし」
…さすが先生。
昨日、必死で理解があいまいな所、探してきたぐらいだし。