先生、教えて【短】


「風花」


呼ばれた名前に、心臓が少し跳ねた。


『せ、せんせ…?』

「これから質問がある時は、ココ来い。
待っててやるから」


『……え…?』


驚いて、思わず聞き返す。


『で、でもっ』

「俺のことはいーの。
お前のことが第一だから」


ドキン、と胸が跳ねた。


"お前のことが第一だから"


それは、あたしの成績のことだって分かってる。でも……。

どうしてもあたしの頭は、
先生の言葉を都合よく解釈してしまうんだよ――。







「おっ、来た来た」

先生はあたしの姿を見て、笑顔になる。

そんな些細なことまでが嬉しいから、
あたしは重傷だ。



―あれから、あたしは毎日のように、

放課後、資料室に行って、先生に分からない所を教えてもらっている。


…おかげで、質問する量が極端に減って、

逆に困ってる状況だ。



『…分かんないとこ、あるから来るんじゃん』

「そうか?お前頭良い方だよ。
飲み込み早いし」


…さすが先生。

昨日、必死で理解があいまいな所、探してきたぐらいだし。




< 5 / 21 >

この作品をシェア

pagetop