先生、教えて【短】
「お前、多分次のテストじゃ良い点とれるよ」
『…そんなのまだ分かんないじゃん』
ふくれるあたしに、
先生は優しく笑って、
「―風花はやればできるから」
そう、そっと耳元で囁かれた。
……先生はズルイよ。
あたしがされて喜ぶことを、
普通にやってのけてるんだから――。
先生のそういう所がホント、むかつくけど。
でも…大好きなんだよ。
『うわ……』
あたしの手の中のテストの結果に目を丸くした。
86という数字が何だか特別、輝いて見えた。
ど、どうしよう!
本当に嬉しい!!
成績大幅アップに繋がる原因の先生は、
まだテストを配ってるけど、
その口は少し緩んでいるようにも見えた。
あたしが喜んでること、お見通しなんだろうな…。
少しムッとしたけど、
また先生の大きな手でなでてもらえる。
頑張ったな、って言われるのを待ってるんだよっ…。
あたしは胸の中に渦巻く気持ちが爆発しそうで、
なかなか放課後にならない、時計の針を恨んでいた――。