49日
加奈子が恐る恐る指さした方向に、“それ”はあった。


その瞬間、全員にピリピリとした緊張が走る。


風に揺られてざわついてる木々。


鳥たちはバタバタと逃げるように飛んでいく。


誰かに見られてるような視線はずっと振り払えなかった。


麻里子はカラカラに渇いた喉にゴクリと唾を落とした。


そして、ゆっくりと目を向ける……。


加奈子が指さした墓石には、


たしかに『時枝家』という名前が掘られていた。
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