49日
「くそ!風が強くてつかない」


大輔はイライラしながら言った。


ライターの親指でまわす部分は手で触れられないほど熱くなっているんだろう。


時折り熱そうなそぶりを見せながらも、なんとか火をつけようと意地になっていた。


「ねえ、もういいんじゃない?とりあえず手だけでも合わせようよ」


彩が眉をしかめる。


そうだね、といった感じで加奈子たちは手を合わた。


次々とみんなが手を合わせていくなか、麻里子と犬飼だけが最後まで目を開けていた。
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