49日
気まずい沈黙にたえられなくなった奈津美が口を開いた。


「……もう帰ろっか。いちおう手も合わせたし」


「うん。そうしよ」


ゆかりと奈津美は地面に落ちた花を拾った。


麻里子たちも帰りの準備をはじめる。


そのときだった。


「いまさら、何をしに来た?」


「?」


男は墓石に手を合わせたまま、おもむろに言葉を発した。
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