49日
「いままでお墓参りに来れなくてすみませんでした。今日は……全員じゃないですけど、こうしてみんなで手を合わせに来ました」


その言葉を聞いていた時枝絵里香の父親は、ゆっくりと目を開いた。


「来れなくて、だって?」


「?」


「来ようと思えば来れたのに、そうしなかっただけだろ」


「それは……」


……たしかに、その通りだ。


男は手を合わせていたのをやめると、ゆっくりと振り返って麻里子たちに目を向けた。


「どうして、突然この子に会いに来る気になった?」


「それは……」


「どうしてだ?」


時枝絵里香の父親の質問に、犬飼は答えられないようだった。


ムリもない。


娘さんに恨まれているかもしれないから、


許してもらいに来ました


……なんて、言えるはずがない。
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