49日
最初に誰かが言った。


「あの子、気持ち悪いよね……」


誰が言ったのかは覚えていない。


そんなことは重要じゃない。


ひとりが言い出すと、他のみんなも言い出した。


そこからはクラス全員で彼女の“悪いところ”捜し。


もう麻里子には彼女のいいところなんて見つけられなかった。


逆に彼女が何をするにしても気持ち悪く感じでしまう。


いま思えば、最初からイジメだったんだろう。


直接彼女に対して何かをしてるわけじゃない。


だから麻里子には、時枝絵里香に対して悪いなんて気持ちはなかった。


だけど……


時枝絵里香に対するみんなの扱いはどんどんひどくなっていき、


それがイジメだと気付いたときには、自分もイジメてる側にまわっていた。
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