49日
「お酒は別に弱くないと思うよ。酔ってどうにかなるのも見たことないし」


美佳がそういうと、ユウヤは「そっか」とだけ返事をした。


ちょっとマズイ雰囲気。


美佳はあわてて笑顔を作ると、みんなに声をかけた。


「ねえ、それよりカラオケ続けようよ。この曲消すね」


そういって美佳は席を立ち上がると、わざわざデッキ本体のほうでいま流れている音楽を停止させた。


一瞬だが静かになる部屋。


そのせいで、ぼそっと千春に対して呟いた愛里の声が、やけにはっきりと美佳にまで聞こえた。


「……アタシ、やっぱり早苗見てこようかな」


「なんで?」


美佳はその言葉を聞き流さず愛里に声をかけた。


「なんで、って。体調悪そうだったし」


「本人がひとりで大丈夫って言ってるんだから大丈夫だよ」


「けど」


「けど、なに?」


それまでとは違う美佳の迫力に愛里は黙ってしまった。
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