49日
「気になること?」


「ああ……」


犬飼はそう返事をすると、ある人物に目をやった。


その視線の先にいる人物に麻里子も気付く。


犬飼が目を向けていたのは橘勇気であった。


「橘くん?」


麻里子の問いに犬飼は「うん」と小さく頷いた。


――橘勇気。


彼は中学のとき、お調子者でクラスのムードメーカ的存在だった。


ダジャレが大好きで、授業中よくつまらないギャグを言っていた姿が印象深い。


それからそう。


足が早かったのも覚えてる。


体育祭のリレーで3人をごぼう抜きしたこともあったっけ。
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