49日
ふらふらと酔っ払いのような足どりで焼却炉へと近づく大輔。


あれからずっと泣いているんだろう。


両目は腫れぼったくなっており、手入れをしていないあごからは無精髭が生えていた。


「……やめろ」


真っ赤になった両目から涙が溢れている。


どれだけ泣いても止まらないんだろう。


「奈津美が……俺達の子供がまだそこにいるんだよ……」


「大輔!」


焼却炉に近づこうとする大輔を山根と橘がふたりがかりで止めた。


「なぁ……山根、止めてくれよ。まだ中に奈津美と俺の赤ちゃんがいるんだよ」


「……」


「勇気……お前でもいいよ。みんなにやめるように言ってくれ。なっ、頼むよ!」


「……」


遠藤大輔の気持ちはわかる。


けど何もしてやれない。


それはこの場にいる全員が同じ気持ちだった。
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