49日
犬飼の視線を感じとった麻里子は加奈子に目を向けた。


とても話しを切り出せる状態じゃない。


でも、いまからする話しは私たちにとって重要なことかもしれない。


……加奈子には悪いけど、いまは誰かに気を遣ってるときではない。


麻里子は犬飼に目を戻すと、コクンと頷いた。


その返事を受け取った犬飼の表情がキリッと引き締まる。


「大久保、いまから大事な話しがあるんだ。少しいいか?」


「……?」


「お前にも聞いてほしいんだ」


「……う、うん。わかった。もう大丈夫」


加奈子は紙ナプキンで鼻水を拭くと、心配させないようにと精一杯の笑顔を作った。


その返事を受け取った犬飼がほんの少し微笑む。


しかし、すぐに真剣な表情に戻った。


「みんなも聞いてほしい。聞きたくない奴もいるかもしれないけど、ここにいる全員に関係がある話だから」
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