49日
「あれは……吉田が時枝の話しをしたあとだった。突然ホームの電気が消えて、あたりが異様な空気になった。俺も健太郎も最初は何が起こったのかわからなかったよ。でもそのあと、俺たちは見たんだ……」


「見た?……見たって何を?」


恐る恐る加奈子が尋ねる。


橘はうつむきかげんのまま、視線だけを上げて言った。


「……時枝絵里香だよ」


「……!?」


橘の言葉に麻里子はゴクリと唾を飲み込んだ。


もうこれくらいじゃ驚かない。


橘は話しを続けた。
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