49日
「あっという間だった。ホームに電気が戻った次の瞬間、健太郎の叫び声が聞こえた。


見ると、あいつは腰を抜かしてその場に座りこんでた。俺は何に驚いてるんだろうって思って、吉田のほうに振り向いてみたんだ。


そしたら……吉田のすぐ後ろに時枝が立ってたんだ……! 俺、怖くて怖くて、その場から動けなかった!


そしたらホームに電車が入ってきて……。必死に“逃げろ”って言ったんだ! けど、『身体が動かない!』『誰かに押されてる!』って。


……吉田、後ろにいる時枝にずっと謝ってた。『悪かった!』『許してくれ!』って。けど……」


橘はそこで言葉を止めた。


これ以上は言わなくてもわかる。


そう判断したからだろう……
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