49日
「絶対にそうとは言えないけど。俺たちが助かる可能性があるとしたらそれしかない。……そうだろ?渡瀬」


突然答えを求められたが、迷いのない麻里子は力強く「うん」と頷いた。


猛の言うとおり、誰も助けてなんかくれない。


生きたいなら……


死にたくないなら……


自分で助かる道を探すしかないんだ。


そのときだった。


「俺も手伝うよ」


「?」


「まだ……死にたくないからさ」


「橘くん……」


一生懸命作ったであろう橘の笑顔。


たぶんいまはこれが精一杯。


でもみんなを勇気づけるには十分だった。
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