ランチな関係
―――…ん…?


もしかして、呼ばれた?


振り返ると、意外に背の高い彼が真っ赤な顔でこちらを見つめている。


勢いあまって立ち上がってしまったらしい。


彼は、ゴソゴソと鞄の中を探ったかと思うと、両手で何かチケットのようなものを差し出してきた。


「よ、よかったら、来ていただけませんかっ!??」


早口でそう言うと、ばびゅっと頭を下げる。





……勘弁して……。





少し空いてきてはいるが、ランチタイムのこの時間はまだまだお客さんも多い。


「あ、あの、嶋村さん、落ち着いて…とにかく座って下さい…」


「座ったら、来てくれますか?」


…いつもはモジモジしてるくせに、今日はやけに強引だ。


好奇の視線が痛い…。


「わ、わかりましたから、とにかく座ってっ」


周りの視線に耐え切れずについ言葉がでてしまった。


「ほ…ほんとに……?」


信じられないといったかんじの表情で見つめられる。
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