HAPPY DAYS
一応、オレの初体験の告白Lessでも、毅の独走で「グラマラスGirl」は完成した。


コケティッシュでキッチュな可愛い感じのメロディで、君代が聞いたら、喜びにおかしくなりそうなくらい、いい曲だった。



お陰でオレの話は終わってくれてよかったよかった。



で、音楽室を出ると、中庭に人影が見えた。


「あれ、キスしてねぇ?」


ボンが笑いながら眺め、顔色を変えて、


「行こう、悪いよ、あんまり見たら」


とオレらを遠ざけようとしている。明らかに見たがってたのボンだけじゃん、と
言い返そうとした時、



オレ達の声が聞こえたらしく、慌てて離れた二人がこちらを見た。


それは、紀子とタカノ。




紀子、タカノとなんで?



ついさっきまでオレとキスしてたんだよな。
それがこれだよ。



あ、…なんか紀子の気持ち、相当分かって来たみたい。



情けなくて泣きそう。



乗り気でない紀子の手をひいて
タカノはオレの前に歩み出て来た。その勝ち誇った顔。
サルそっくりだよ、サル。



ただでさえ嫌いなタカノだけに、紀子を奪われた悔しさで、オレの目にはサル顔にしか見えない。



「花巻、すまない。こうゆうことだ。彼女もようやく…相応しい相手と認めてくれたらしいよ。いや〜こんなとこ見られて言い訳も出来ないから」



自慢?



紀子はタカノの後ろで、黙って横顔を見せてる。美しい横顔。



「瀧澤、タカノなんかでいいのかよ?ま、誰でもいいんじゃねえの?オレでもいいんなら、タカノやめてオレにしとけよ。ブッ跳ばせてやるよ」


ボンだった。ボンはボンなりにオレを庇い立てしたつもりだったのだろう。


紀子は眉一つ動かさなかった。



ただ毅が


「瀧澤、おめでとう。好きな人と付き合うことが幸せだよ」


と言った時、びくっとした。



…毅…



かっこよすぎだし。



オレなんか、彼女にフラれて、フラれた原因のコの歌、お前に作られてるんだぜ?



差をつけんなよっ
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