HAPPY DAYS
「ホントにその子は、純くんを好きなの?」


「うん。だって最近ライバル出現してから、なんか…綺麗になったし」


元々瀧澤は小綺麗なさっぱりした子だったが、どっか線が細くて、はっきり言えば面白みに欠ける、優等生に過ぎなかった。

だけど最近の瀧澤の変貌振りには、目を見張るものがある。

強い意思が感じられる子は、それが今ちょっとベクトルがマイナスに振れていたとしても、魅力を醸し出す。

純と駅で別れてから、ボンが
「でも瀧澤、いいよなぁ、純には言えねぇけどさ」
と盛んに繰り返していた。

ボンは時々しつこいので、うっちゃらかしていたが、実はその時、ボクも同じ様に感じたのだ





「綺麗になったのには、別の理由があるかもよ」

真知子さんがコーヒーを飲みながら話した。

「なに?」


「カナメ祭何をやるの?」


問い返したのにThrough。

それで、もう聞き直せないボク。
真知子さんにはどうしても勝てない。

頑張っていてもペースを持って行かれる。それってやっぱり、好きだから振り回されてる?


純を好きで取り戻したくて、あらゆる手段を講じている瀧澤が、何だか自分と重なる。


追い掛けたり、意地になったり、好きでもない男と付き合って見せつけたり、結局はそんな精神状態になるよう振り回されてるのだ。



…瀧澤、切ないな、恋するって。





ボクも切ないよ、真知子さん。








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