HAPPY DAYS
翌朝、予想通り、校門でタカノが待ち伏せしていた。


やっぱりと思いつつ、やっぱりうんざり。


「紀子が言うには、付き合ってると逆に吹奏楽に居づらいって」

「そうなんだ」

「そんな訳で、音楽が好きだからせめて軽音で音楽に関わりたいと言うから、よろしく頼むよ」

「よろしく頼むって?」

「山浪が軽音の部長なんだろ?元カレの花巻がちょろついてるだけに、紀子が嫌な思いしたら可哀相だからさ」

「瀧澤は純がいることで嫌な思いはしないよ。瀧澤が純と寄りを戻さないか心配なら、自分で見張れば?」

「そ…そんな心配はしてない。ともかくよろしく」


タカノは細い手足を振り回すみたいにして、去って行った。



「何だぁ?あいつムカつくなぁ」

心配でもしたのかボンが駆け寄って来た。


「あいついつも軽音を格下みたいにいいやがってムカつくぜ」


吐き捨てるみたいにボンが言うと、


「オハヨー!何の話?」

とご機嫌な純が飛び入り参加だ。

「何でもねえよ。あ!19日の土曜日!なんか用事ある?いや、あってもそっちはキャンセルしろよ、オレ様のライブがあるから、みんなで盛り上がりに来いよ」


ボンはAirギターを弾きながら、ベロを出して見せた。


純はウケつつ、

「え?何処で?何てバンド?」

と満更でもなさそう。


以前、聞きに行った時のバンドとはメンツが変わったようだが、ちょっとはボンは歌が上手くなったんだろうか。


純は当然のように一緒に行こうと言い出した。


「みんなで行こう!オレ、ビジュアル系のライブなんて初めてだよ。何着てくの?毅みたいなかっこ?」


今日のボク?ベビーピンクのタンクトップにデニムのジャケット。


ビジュアル系とは何等関係ないかっこだ。


「オレもピンク着てこ」


…ペアルック?たまりませんよ、純くん。




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