HAPPY DAYS
カナメ祭が5月になったのは、オレ達が2年の時。

秋だと大学受験に障るから、と5月に決まったが、いざ、カナメ祭やるとなると、準備期間のなさにてんてこ舞いだ。


つまりそんな間があるなら、勉強しとけくらいな意味なんだろう。


でもオレは今日は早目に切り上げて一人学校を出た。


君代からのメールがあったから。


「今、学校出たから」


とメールをすると、直ぐさま返信が来た。


「ヤッター(ハート)」


素直に気持ちを伝えてくれる君代には、いつも安心感を貰える。


君代を見付けると手を振った。

君代も一生懸命応える。


「純!よかったの?部活は?」


「今日は君代の日って決めたから、気にすんなよ」


君代は黒目がちなアーモンド型の目を何度もしばたかせて、仕舞いには頬っぺたをつねった。


「純、今、君代の日って言った?痛くないから夢?」


「言ったし、夢じゃねえし。…つねってやろうか?」


「うん、つねって」


君代が頬っぺたをオレに向けるから、思わず笑っちゃいましたよ、可愛くて。


「純、今エロい顔したし。チューしたいならしてもいいよ」


と目をつぶって唇を突き出した。

オレは君代のおでこにデコピンして、


「夢じゃないでしょ」


と聞いた。


「痛かった、夢じゃない」


それから二人で初デート。


嵐の日に服を買ったのもデートかな?


だけど待ち合わせして正式にデートしたのは、ホントに今日が初めてだ。


君代と歩くと春がついてくる。


君代は顔が可愛いだけではなくて、
笑ったり肩を叩いたり、そんな表情や仕草が可愛い。


…今日の昼休みの瀧澤もこんなだった。



オレ、瀧澤を思い出してばかりいる。





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