HAPPY DAYS
食事中もそこに話を持ってく気力もなく、

「美味しいです」

を連発しつつ、君代ママの手の込んだ夕飯が何か味気無くなり、やたらと水を飲んだ。


「純!19日ってなんか予定ある?」

「19日って土曜日の?うん、軽音の一人がライブだって言うからみんなで見に行くけど、何かあるの?」


「じゃあ、私も行きたい!バンドのライブって見た事ないし。どんなバンド?」


「ビジュアル系だけど、その日って軽音のメンバーで行くから、つまんなくない?」


「純と一緒なら何処でもつまんなくないよ」


ニッコリする君代。その笑顔は今までと同じなのに、
オレの感じるところは何故か今までと違う。
なんか、空々しい感じ?


君代もオレの醸し出す空気を感じるのか、テーブルの下でやたらと脚を絡ませ、じゃれてくる。


君代の足指がオレのふくらはぎを撫でると
意味ありげにオレの顔を見て微笑んでいる。

「これを待ってるんでしょ!」

みたいな表情。


オレの身体に訴えて、ごまかそうとしてるわけ?


君代は御飯が終わると食器をさげ、オレの後ろを通るたび、首筋を触る。


いつもならイントロみたいなスキンシップだけど、今日はそっちには持ってかせるつもりはない。


君代にとってオレは、それだけの男?


それが問題だ。





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