HAPPY DAYS
毅 DAYS 12
瀧澤を送ると急に軽くなった自転車。
漕ぐには楽だけど、背中は寒いな。


瀧澤は何かボクに言いたげだった。でも言い出せない何かがあったんだろう。多分純の事。
もっと素直になればいいのに。


「ただいま」


家はもう母さんは帰っていた。
母さんは、こっちに来てから友達がやってる店を手伝い始め、
今は支店の店長をやってる。

女の人関係の店だから、何の店かはよく分からない。

大体帰りは7時半から8時くらい。
今日は早いな。


「毅、ちょっと」

「なに?」

「話があるの…、毅…ここ座って」

改まって話なんて、学校行かなかった中学生の時以来。
万事好きな様にさせてきてくれた母さんだった。


「あら、毅、頭染めた?でもいいよ、なんかアジアンな感じで」

「頭じゃないです、髪を染めました」

「いちいち突っ掛かる子ね。…まぁ、いいわ。毅、あのね、お母さん…赤ちゃんができたの」

これ以上驚かされた事があるだろうか?

正直、親の離婚の方がまだ予測出来た。

「誰の子なんだよ」

「それが…」

一見、話にくそうな言いっプリだが、実際はニコニコしたくなるのをぐっと堪えながら、話したくて仕方がない感じ。


「あなたのお父さん!」

「え?」

「実はねぇ…」


ボクが中学生時代に不登校になった頃、
父さん(久々だから言いづらいな)が母さんに養育費の件で連絡をしてきた事があって、
相談したのがきっかけで頻繁に連絡しあっていたらしい。


「それって割に早い段階の話でしょ?何だよ、それ」

「仕方ないじゃない、あなたに話せるような状態じゃなかったでしょ」

「はいはい、ボクが悪いのね」

「1番悪かったのは私達よ、毅には迷惑ばかりかけてきたし」



< 136 / 219 >

この作品をシェア

pagetop