HAPPY DAYS
真面目でおバカな純は全く気付いてない。


「受験勉強し過ぎじゃね?寝不足はダメだぞ」


とか見当違いな労りのことば。


昨日から瀧澤に同情気味なボクは、躊躇いもあったけど、席を立った。


付き添おうとしていた、瀧澤友人に
「倒れそうだしボクに任せて」
と行って教室に戻させた。


瀧澤は彼女の姿が見えなくなると、小声でなじった。

「やめて、その場限りの憐れみなんていらないから」


…確かに、憐れみ、かも。


でも憐れみの出所は、コッ恥ずかしいが友情だ。
純を通して、少なくともボクには、そうゆう思いがあった。
瀧澤のきつさが分かるから、荷を下ろす場所を提供してやりたい、と今だって本気で思っている。


「瀧澤が本当に一人で大丈夫なら、ボクは引っ込む。だけど正直しんどいなら、…ボクが必要なんじゃないかと、思う」


瀧澤のサラサラの長い髪。綺麗なツヤが踊っている。
昨日、その髪を切ってまで終わりにしようとしていた純への気持ち、今はきつくても、いつかきっとして良かった経験に思えるから。



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