HAPPY DAYS
なんてゆうか気の迷いみたいなもの。
誰もが通る青春の門。


ヒロシだって覚えがあるはず。


私は毅くんの青春時代の憧れのお姉さんで充分。そして、ヒロシとは一度付き合えば充分。


今の自分の大人の結論に満足している。


「…オレも真知子の事、本当に好きだった」


「私も当時は、ヒロシが大好きだったよ」


ヒロシが急に穏やかな口調になったから、やっと私も昔を懐かしめた。あの頃はあの頃で、大切な思い出。
恋と呼べるようなものはヒロシが初めてで、ヒロシは実質的な初恋の人だ。
彼が少し大人の顔をして、時間の経過を前向きに感じる。


「…毅さ、ちょっと真知子に似てるところがあるだろ。だから気になるっていうか…」


「毅くんと私が?」


「自分よりまず人を思いやり、完璧主義で真面目なとこ」


確かに。今まで話が合う点には気付いていたけど、客観的見解に於ける毅くんと私が似てるとこが多いなんて、眼を向けたことはない。
思いやり云々はかなり気恥ずかしいので外すけど、それ以外はビンゴ。


少なくとも、おちゃらけくんのヒロシよりは同じカテゴリーだと思う。


「毅の眼をきちんと見てやれよ。返事は…年下とか高校生だから、で一くくりにするな、毅個人を認めてしろ」


「だから告白はないって」


「ある」


「なんで確信できるの?」


「お前、来年社会人だぜ。誰だって焦る。…オレも便乗しただけみたいだけど、焦ってプロポーズしたんだから」


「…ありがとう、でも」


「ああ〜、二度フルなよ。返事はさっき聞いたから」


「うん、ごめんなさい」


「真知子のそうゆうとこが好き。顔だけじゃないんだぜ」


「ヒロシ、就活終わったら、また会おうね」


「おぅ。だけど今度は軽音OBOGみんなで会おうな」



軽音のみんなか、会いたいなぁ。バラバラには会えるけど、まとめてはなかなか。


デザートの生チョコのスウィーツを食べながら、人生みたいな味だな、とせつなくなった。
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