HAPPY DAYS
真知子さんは口元に人差し指を当てて、暫く考えていたけど、満開のカサブランカみたいな笑顔で頷いた。



よし。


第三関門クリアー。


「毅王子、よろしくお願いいたします。どちらに向かわれますか?」


「前にここら辺においしいパスタのお店があるって、真知子さん言ってましたよね」


「了解。行きましょう」


目の前の不自然なカサブランカの花束。
これがあると二人乗り出来ない。


「真知子さん、本当は食事の前に渡したかったけど…」


怖ず怖ずと差し出したカサブランカに、真知子さんは何度も何度も


「綺麗ね、嬉しい、ありがとう」
を連発した。


第四関門クリアー。


真知子さんは自宅にカサブランカを置いて来た。
そして手にはクルマのキー。


「クルマで行こう」


自転車二人乗りと同じくらい、ドライブも魅力的。ただし、運転席と助手席が、男女逆だけど。


真知子さんの助手席。


受験終わったら、早目に免許取ろう。


エンジンがかかると、スピーカーから流れて来たのは、失恋の歌。このタイミングにあんまりだ。
その歌が終わらない内に着いた。帰りにも続きを聞く訳だ。


初っ端から縁起の悪い幕開けだ。


温かい照明に、シックな内装の落ち着いた感じのお店だった。真知子さんらしい。


パスタのコースメニューを頼むと、さて、ボクが真知子さんのお家を突撃訪問した理由を言うしかない流れになっていた。


「毅くん、突然何があったの?」
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