HAPPY DAYS
目が覚めた時一人じゃ可哀相で、オレは紀子の枕元にいた。


安心したような紀子の寝顔。


紀子にはママしかいない。どれだけ心配だったろう。いつもみたいに予備校から家まで送ってあげれば、一人不安な時間が短かったのに。


ごめんな、紀子。


そっと髪を撫でた。


「花巻くん…」

「大丈夫か?起きなくていいから。何か飲む?」

「いらない。…もうちょっとだけ側にいてくれる?」

オレは黙って頷いた。

いつの間にか握り合っていた手。

紀子の手の甲に頬を寄せて、紀子の事だけを見詰めていた。


「ごめんね、私…花巻くんに連絡すべきじゃないって分かっていたのに…花巻くんしか思い浮かばなかったの」

「…」

握る手に力が加わっていく。

オレももうどうしていいか分からなかった。君代の愛らしさに癒された直後でも、紀子の事を捨て置くなんて出来ない。

「花巻くん、苦しめてごめんね…」

「馬鹿言うなよ。紀子ママの様子、聞いてくるから」


オレはどうしたらいい?


毅に会いたい…




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