HAPPY DAYS
「選べないなら選ぶなよ。それは結局二人とも愛してないってことだから」


「毅、随分な言い方じゃね?」


「恋愛なんて元々エゴイスティックなものなんだよ。どちらにも気を持たせて、で、どっちも傷つける。選ぶのは純だけど、選べないのも純なんだぞ」


「…だから辛くて…どうすべき?」


「ボクがこっちを選べって言うの?有り得ないし。純、しっかりしろよ。誰を選ぶかが重要なんじゃない、選べないのが問題なんだよ」


純は苦悩に綺麗な顔をゆがめていたが、ふと何かに気付いたようにボクを見上げた。


「どうしたの?」


「…君代と、朝、待ち合わせしてた…」


「え?学校行ったでしょ、もう1時過ぎだし」


「ない、あいつは…待ってる」


「どうする?ここに残るか、行くのか、まさに選択だな…」


「…」


「取り敢えず電話してやれよ」


純が携帯の電源を入れると、君代からのメールも電話もない。かけても、圏外の報せ。




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